一戸建てを買う夢を見た。暖かい家族に暖かい夕飯、暖炉に火がつき暖かい会話と笑い声が外にまで聞こえている。
僕はそんな一戸建てに住む家庭にあこがれているが、現状は正反対。一戸建てどころか家すらない。
毎晩酒を飲み、路上で死んだように眠る。通勤途中の人ごみの足音と無駄なクラクションで起きるときが一番嫌いな時間帯だ。
あいつらは社会の自動エスカレーターに乗って、決められた時間に決められた仕事をただやらされてるだけの「ロボット」だ。
名づけて「一戸建てロボット」だ。
そして会社の不満や上司の嫌がらせにストレスを貯めた結果、悲鳴の変わりにクラクションを鳴らすのだ。
くだらない。
例え、そいつが一戸建てを持っていて家庭を持っていたとしても、うらやましくもなんとも無い。
僕が求めている一戸建ては、愛の形だ。一戸建ての中の空間にある暖かいものを僕は求めているんだ。
そんな僕に一人の女性が声をかけてきた。
「あなたのその謙虚な目で世の中を探偵的洞察力で見ている姿がすごくステキ。一戸建てに一緒に住みませんか?」
何度か夢に見たシチュエーションだったので、驚かなかった。
むしろ運命を感じた。
僕はその女性とまもなく結婚した。彼女の名は「キミコ」といった。